room#03
うちの夫の好きな言葉に「にゃんこ先生」ってのがある。意味は無い。我が家には「にゃんこ先生」なる人物も動物もいないが、そう発せられる対象がどうやらどこかにあるようで 時々親しみを込めて呼ばれている。言ってる本人にとっては、「先生」っていう権威を感じさせる言葉と、「にゃんこ」っていう幼児語のコントラストが、滑稽で口触りがいいのだろう。「先生」って呼ばれる人種を私は概して好まないが、そこに幼児語をくっつける事で、なんだか急にちょっと間抜けな存在に化けることを面白がっているんである。決して馬鹿にしているんじゃない。偉いんだけど可愛い、っていう、そういう感覚。

ある意味、セルジオ・メンデスも「にゃんこ先生」のような気がする。プロデュース能力や売り込み方なんかは「先生」並みなんだけど、どこかお茶目でお悧巧ちゃんという印象。憎たらしいほど売れちゃって人気者なんだけど、ちょっとスロウでばれてる感じ。いろんな人に尊敬されてパクられて、一人歩きもしちゃったりして。クールな顔して、儲けたお金でやっぱ故郷の母に家でも買ってあげたんだろうか、とかね。その家にはちゃんとプールは付いているよね?とか、メイドは何人?とか心配させてくれてさ。そういうのをぜんぶひっくるめて、「やーい にゃんこ先生」って呼びかけたい。
cd SERGIO MENDES & BRASIL'66
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