Sunday, December 26, 2004

Joao Gilberto

三月の水

Joao Gilberto

今年は雨が多かった。
いつからだろう、こんなに雨が苦痛になったのは。
幼いころは、降ったら降ったで、
窓辺に座ってたくさんのしずくが落ちるのを見つめながら、
レコードにじっと耳を傾けるのが好きだった。
大人になって、雨が降ろうが風が吹こうが、
平日の朝は外に出なきゃいけなくなって、
それから雨が苦痛になった。

出かけなくちゃいけないから、雨に濡れることもできるだけ避ける。
一生懸命、傘を握って、
肩をすぼめて、向こうから歩いてくる人の顔も見ないで。

ほんとうは、許されるならば、やさしい雨を浴びていたい。
濡れようが、体が冷えようが、
家に帰ってバスタオルをかぶればいいだけのこと。

こんど雨が降ったら、
ジーン・ケリーみたいに踊る気分にはなれなくても、
ジルベルトの唄を浮かべて歩こう。
そしたらもう少し、雨のことも好きになるだろう。

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