2009年02月11日
Cinema / Think

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映画『CHEチェ 28歳の革命 | 39歳 別れの手紙』を鑑賞。

フィデル・カストロと出会い、サンタ・クララ陥落までの革命編と、キューバを離れ、ビジネスマンに扮してボリビアに潜入、そして射殺されるまでの手紙編。どちらも歴史上の事実であり、ラストがどうなるか知っている。しかし、最後まで目を離すことなく映画の中に引き込まれていった。それは、ベニチオ・デル・トロ演じるゲバラの魅力に尽きる。僕にとってのデル・トロは、この映画と同じくソダーバーグ監督の作品『トラフィック』で虜というか、男として惚れてまいました。それ以来の作品でしたが、またしても!と、味わい深い男を醸し出してますね。今回の映画では、そもそもゲバラという男が魅力的であったので、男っぷりがさらに倍!だったね。でも、役作りのために相当な減量をしたとはいえ、28才当時のグランマ号でのシーンだけは無理があるな〜とも・・・w

それにしても、ボリビア山中での潜伏活動中、喘息と闘っている様子は真に迫るリアリティがスゴイ!観ている自分も苦しくなってしまう。理想と現実の狭間でボタンの掛け違い程度の積み重ねが、少しずつ少しずつ蓄積され革命失敗となる。キューバ革命の過程での苦しさとは違う、崖をただ転がり落ちるだけの苦しさ。

現在のボリビアは、武装闘争ではなく選挙で勝ち得た勝利により先住民出身のファン・エボ・モラレス・アイマが2006年に大統領に就任した。コカ(コカインではなく)の栽培推進や、天然資源の国有化など、精力的に活動している。また彼は反米主義であり、ブッシュを公然とテロリストと発言したり、グローバリズムなどにも対決姿勢を崩さない。ちなみに、どんな場所へもアルパカセーターなどの軽装で現れる。いつでも軍服なゲバラのようだね。ゲバラが生きていたら、今のボリビアをどう感じるだろうか?きっと、ただ役目は終わったとして次の国へ旅立ってしまうのかな。できれば家族のもとへ帰って、ゆっくりして欲しいと思う。ボリビアに潜入するために、ビジネスマンに変装したまま家族のいる自宅へ訪れ、ソファーで奥さんとゆっくり手を握るシーンが切ない。しかし、この時の奥さんはキューバ革命の際に途中で従軍してきたアレイダ・マルチ?・・・あれ、メキシコに妻のイルダ・ガデアや子どもがいたよね。キューバへ乗り込む際に別れたの?

ちなみにゲバラ映画と言えば、若き日のゲバラが友人のアルベルトと二人でポテローサ号(バイク)一台で旅した南米旅行記の映画『モーターサイクル・ダイアリーズ』(2004年公開)がある。単純に青春ロードムービーでもあり、クスコなどの美しい景色だけでも観るに値するのだが、この映画によって自分が今まで抱いていたチェ・ゲバラのイメージを良い意味で壊され、彼が魅力的なひとりの人間であることを気づかせてくれた。以前は、毛沢東と並んでTシャツにデザインされちゃう過去の人でしかなかったのだ。今回のチェ2作品は、多少の歴史的知識も必要なのかもしれないが、それよりも、この若き日の彼の姿を知った上で観ることをオススメします。


※写真はコルダ撮影の「英雄的ゲリラ(Guerrillero Heroico)」。彼が著作権料を受け取らないため、世界中にこの写真が広まり、そして様々なプロダクトへプリントされている。


Che The Argentine 『チェ 28歳の革命』
Che Guerrilla『 39歳 別れの手紙』

生きていたら今年で80才。

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